皆さん、大学の非常勤講師を知っていますか?
私たちJAICOWS(女性科学研究者の環境改善に関する懇談会)は、この度、「非常勤講師はいま!―コロナ禍をこえて」を出版しました!
皆さんが大学で教わる先生たちはみな同じに見えます。しかしそこには二種類の教師がいます。専任と非常勤です。教わる側はわかりませんが、専任の給与に比べ、非常勤の給与は、専任教員の10分の1から5分の1です。そこには明らかに目に見えない格差が存在しています。企業で言えばブラックですが、大学教師の肩書がそれを覆い隠しています。また大学では非常勤講師の方が専任教授より多く、その過半数は女性です!
ここ20-30年、ほとんど給与に変化はありません。多くは大学院卒、修士号や博士号を持つエリートでありながら雇用も大変不安定です。
本書は、首都圏・関西の非常勤講師組合にも協力いただきながら、全国の非常勤講師にアンケートを取り、その赤裸々な実態と切々たる声を反映し、雇止めや、コロナ禍での叫びを描いたブックレットです。
2018₋20年、非常勤講師を2つの波が襲いました。1つは2012年に採択された労働契約法の改正の施行により、「5年以上非常勤職にある人は無期雇用に移行できる」という法律が実行される直前の2017年末から2018年春に、多くの大学で非常勤の雇止めが起こったことです。今1つは2020年のコロナ禍です。雇止めは法的には違法である為、1000人近い非常勤を雇止めにした大学には、違法判決がおりましたが、現実には多くの大学で、秘かに個別に5年以前に雇止めがなされるようになりました。訴え運動した非常勤の人々は無期雇用に転換できましたが、無期雇用になっても賃金の低さと雇用の不安定さは変わりません。他方、個別に雇止めの通告を受けた人は泣き寝入りするばかりです。
もう一つはコロナ禍です。2020年のコロナ禍の下、専任教員や学生には与えられたオンライン機器の補助金は非常勤には与えられないケースが多く、オンライン機器を自費で買い、オンライン授業準備のため大幅な無給奉仕を強いられました。
こうした非常勤講師の実態に対し、JAICOWS はアンケートを行い、首相、文部科学省や大学協会、メディアに「要望書」を提出しました。そこでは非常勤講師の賃金改善、教育環境改善、科研費応募の権利や、研究所研究員の肩書の付与、オンライン化に伴う機器の負担、差別やハラスメントに対する外部中立機関による不服申立制度(オンブズマン制度)の確立、奨学金返済の延期や免除など10項目を要求しています。是非本書を読み、非常勤講師の環境改善にあなたもご協力ください。要望書は、JAICOWSホームページにもアップしています。https://side.parallel.jp/jaicows/
本書を希望される方は、JAICOWS事務局 〒020-8550 岩手県盛岡市上田3−18−34 岩手大学人文社会科学部海妻径子研究室E-mail:kkaizuma@iwate-u.ac.jp に、お名前、住所、電話番号、部数を書いてお申し込みください。1部500円です。振り込みは以下にお願い致します。ゆうちょ銀行口座:00160-5-421146 店名019(ゼロイチキュウ)店、当座、口座番号0421146 JAICOWS ぜひ皆さんの力で非常勤講師の環境改善を行えればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
女性研究者に関する書籍
以下の書籍が寄贈されましたので、皆様にご案内させていただきます。大変タイムリーな、また読みやすい優れた書籍です。
山下泰子・矢澤澄子監修、国際女性の地位協会編『男女平等はどこまで進んだかー女性差別撤廃条約から考える』岩波ジュニア新書、2018年.
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