研究所の概要

欧州における紛争から和解への比較研究―イギリスのEU離脱, 格差、排除から、地域共同、和解、包摂へ:アジアへの教訓―

本プロジェクトは、21世紀に入ってグローバル化の下で起こった欧州の様々対立―イギリスのEU離脱、人の移動や自由競争による格差の拡大、そうした中でのナショナリズムやポピュリズム、排除の広がりを、いかに克服し、現在EUが努力し再構築しているような、地域の共同、和解や平等、マイノリティや弱者の包摂などを、どう具体的に実現していくかを、現実のEUの試みと政策の分析により、検証していこうとするものである。

2020年1月以降、爆発的に拡大したコロナ危機は、中国から欧州・アメリカへ、ラテンアメリカ、世界へとさらに拡大している。コロナはまさにグローバル化と人の接触、格差や貧困を媒介して広がっている。

しかし最初に地域として爆発的感染を経験した欧州は、第2次世界大戦後の廃墟と荒廃の中から、紛争や危機に対し敵対でなく地域共同と和解こそが問題を解決すると確信し、欧州統合を実現したように、コロナに対する復興基金を実現し、医療共同・マイノリティや弱者の救済と包摂という共同政策で乗り切ろうとしている。それはトランプがアメリカの白人至上主義や保護主義・中国批判や排除を繰り返すことによりいまだコロナ危機を収束しえずむしろ拡大している状況と対極にある。現在紛争の火種を多く抱えているアジアにとっても、EUの経験と共同の試みは教訓化できる。

本プロジェクトでは、エラスムスムンドゥスの資金を得、ヨーロッパの現在進行形の危機の克服に学び、またエラスムスの目的でもある若者を研究プロジェクトに組み込むことにより、危機の克服と問題解決の過程を共にサーヴェイし、将来の継続と政策化に向けて共同研究を実行するものである。