所長からのあいさつ

グローバル国際関係研究所 所長挨拶 羽場 久美子  

 

EU(欧州連合)の欧州委員会(EC)からの資金、Erasmus Mundus(エラスムスムンドゥス)の資金(2013- )を基礎に、「グローバル国際関係研究所 Institute for Global International Relations」を立ち上げました。

研究所の基本理念は、世界の平和構築と、地域の連携と発展、特に欧州の紛争から歴史的和解(from Conflicts to Historical Reconciliation)の経緯に学びつつ、アジアの不安定地域の共同と和解を促進し、安定と平和・繁栄(Stability, Peace and Prosperity)を導く研究の促進、若手研究者の育成と、世界及び社会とのネットワーク形成です。

京都大学の経済研究所と連携し、また学術振興会(JSPS)から受けているインド社会科学研究院(ICSSR)と日本学術会議(SCJ)の連携の日印学術協力の資金とも共同しながら、ヨーロッパ、アメリカ、中国、インド、ロシア、韓国、ASEANの大学とも結び、研究の発展と、若手研究者の育成を目指します。

2020年現在、客員教授として京都大学経済研究所所長、日本学術会議会員の溝端佐登史先生(国際経済・ロシア経済)をお迎えし、研究共同と指導をお願いしています。

所長、羽場久美子は、ハンガリー科学アカデミー、ロンドン大学、パリ大学、ハーバード大学などで、客員研究員を務め、現在世界国際関係学会(ISA)アジア太平洋地域の副会長を務め、また日本学術会議の連携会員として活動しております。専門は、国際政治・国際関係論で、より具体的には、EU研究・中東欧研究・アジアの地域統合、ナショナリズム・デモクラシーとゼノフォビア、グローバル・ガバナンス、社会主義、移民難民などについて研究を進めております。

特別研究員としては、まず中国からのポスドク、青山学院大学大学院博士号取得、杜世鑫さん(欧州・中国国際関係史研究)に研究所事務局長をお願いしています。

また特別研究員として、インドからのポスドク及びドクター・アプリカントの留学研究生2名(デリー大学、Joy Peter Hudson, ジャワハルラール・ネルー大学Akanksha Singhさん)(エネルギー・国際地政学研究)、院生助手真島啓さん(トラフィッキング研究)(2021年からスペインに研究留学予定)、中国の大学で講師を務める渋谷淳一さん(メコン流域地域協力、移民研究)、青山学院大学大学院修士号取得者Nicholas Crenshaw さん(ラテンアメリカ移民難民研究)など、新進気鋭の優れた若手研究者たちが、活動を支え、研究を進めていきます。

さらに20213月に国際政治経済学研究科で修士論文を完成させる予定の羽場ゼミ大学院生、大槻歩未さん、欧陽慢秋さん、久保環さん、呉Dawei さん、佐藤剛司さん、下薗玲佳さん、朱Tianqingさんの修論指導を行う中、国際政治経済研究の理念として、平和構築、紛争解決、地域の安定と平和、和解、地域共同による安定と発展・繁栄の理念を学び発展させ、その後の人生にも生かしていけるようなお手伝いをしていきたいと思います。若手育成とネットワーク形成は、グローバル国際関係を発展させる基礎という理念の下、積極的に、学外・研究所外の若手研究者の支援と育成を図っていきたいと考えています。

まずはこの1年間の研究としては、Brexit後の欧州とアジアの地域協力研究、移民・難民研究、アジアの紛争解決、安定と発展などを中心にプロジェクトを組み、若手育成に力を注ぐ所存です。

2020年のスケジュールとして、202012月の、世界各国と結んだオンライン国際会議の開催があります。

20203月、日本学術会議と青山学院大学、京都大学が連携した大型国際会議(10か国25人の外国人の参加)がコロナで延期されたため、その国際会議を202012月に改めてオンラインで開催する予定です。

2020年は、政府観光局(JNTO)MICEアンバサダーに、羽場久美子が人文社会科学で最初のアンバサダーとして選ばれたこともあり、政府観光局(JNTO)の支援、また政府観光局と連携し、伊勢志摩サミットを開催された三重県観光局の支援も得ながら、オンライン国際会議を、東京・三重(伊勢志摩)、京都で開催予定です。

また20203月に国際会議にあわせて印刷された、Proceeding Book100 years of World Wars and Regional Integration and Global Governance –How to make New World Orders?–, SCJ, Aoyama Gakuin, Kyoto University, 2020. が、Springer Publisherに認められ、202012月の大会内容を踏まえて、Springerから刊行される予定となりました。

202012月には、アジア太平洋EU研究学会(EUSA(European Union Studies Association) Asia Pacific)、2017年の東京国際会議、および、2018年台湾、2019年中国・復旦大学の国際会議の報告を踏まえ、Brexit and After -–Construction Asia and European Relations–, Springer Publisher, 2020 が刊行されます。

特に日欧関係は、イギリスのEU離脱後、日本EU双方から積極的に、FTAEPAを掲げて進展しておりますし、日印関係は現在国際関係上も極めて重要です。こうした時期に、Erasmus Mundus の資金と、日・インドの学術交流基金の双方を得られた幸運を生かしつつ、日中韓の協力と連携を基礎に、米中対立を超えていかに21世紀の新しい多元的新国際秩序を構築するかを、研究していきたいと思います。

さらに海外を含む若手ポスドクやドクター・アプリカントに多く研究員に入ってもらい、国内および、国際ジャーナルにも積極的に投稿してもらうことで、若手育成、国際化、英語の著書や論文を出し、一緒に国際会議に出かけて報告し、世界との連携を図っていきたいと思います。

また、京都大学との共同研究プロジェクトにより、若手も積極的に報告や院生交流を行うことで一人一人の国際的研究競争力もつけていきたいと思います。

まだまだ不十分で走り出したばかりですが、皆様方のご指導やご協力をぜひいただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

研究所を代表して

グローバル国際関係研究所 所長 羽場久美子